中堅・中小企業経営者の後継者問題を解決し、企業存続のための友好的M&Aを推進する株式会社日本M&Aセンター。1991年に設立して以来、2期目以降ずっと黒字を計上し、15期まで株主に10%配当を続けてきた。昨年12月には東証1部に上場。独自のポジションを確立し、躍進を続ける。「黒字経営はM&Aを有利に進める重要な要素」と語る同社代表取締役社長・分林保弘氏に、黒字経営のポイントと、中小企業が生き残る方法について話を聞いた。(この記事は、「25時間戦う!!社長の"黒字経営"マガジン『社長25h』2008年6月号に掲載された記事の一部をBSL会員向けに再掲載したものです。)
- 御社は設立して以来、2期目以降ずっと黒字を計上していますね。その原動力とは?
当社の設立経緯によるところが大きいですね。設立時には、全国の有力な税理士、公認会計士の先生方100人ほどにも共同出資を募りました。
筆頭株主は私でしたが、7%くらいしか持っていませんでした。全国の多くの方々のお力添えによって設立できたことから、設立当初に「株主に年間10%配当し、10年間でお返ししよう」と決心しました。 せっかく出資してくださった株主に配当ができなかったり、極端な話、会社をつぶしてしまえば、完全に信用がなくなります。そうならないために、何がなんでも黒字にして利益を出すことを自らに課しました。
- 結果的には黒字だけでなく十分な配当もできたのですよね。
はい。おかげさまで15期まで株主に10%配当を続けられました。出資金は全部お返しできた計算になります。 さらに16期目で上場を果たしました。株価が100倍ほどに上がりましたので、100万円出資した方は1億円になりました。皆さん本当に喜んでくれましたよ。
- 順調に上場まで成長できたポイントは?
「いかにして相手にプラスを与えるのか」を念頭に置いてきた点です。相手とは、お客さまはもちろん、株主、社員だったりします。私がビジネスを実践する際、常に心掛けております。
「自利利他」という言葉の通り、相手の利益は自分の利益。相手に対してプラスを与えれば、結果的に自分にもプラスが回ってきます。私は実体験をもって痛感しましたね。ビジネスで自分のことだけ考えていては、お客さまも株主も社員もついてきませんから。
-現在は220を超える全国の会計事務所と提携していますね。ここまでネットワークを広げることができたポイントは?
説明責任を果たしたことですね。全国の会計事務所に提携と出資をお願いした際は、きちっと説明し、理解いただくことに努めました。
- 御社は中小・中堅企業のM&Aにフォーカスして事業を展開していますが、昨今の企業情勢を見て感じる点はありますか?
一言でいうと「集約化」ですね。かつて350社前後あった薬品卸会社は、現在、4社で80%のシェアを占めるほど集約しています。
ほかにも、食品卸は国分と菱食系列に、スーパーはイオンとイトーヨーカ堂系列に大きく分けられるといっても過言ではないでしょう。百貨店でも三越と伊勢丹、松坂屋と大丸が一緒になる時代です。特に流通業は集約化が顕著ですね。
- そんななか、中小企業はどうすればよいと思いますか?
製造業ならば、どの企業とも競合しないニッチな製品をつくることですね。見積もり競争になれば儲かるはずがなく、体力のある大手にかないませんから。独自の製品を開発できる能力があるかが生命線になるでしょうね。
卸・小売、サービス業などは、独自の販売ルートやマーケットを持っているかがカギですね。例えば、私の知っている印刷会社では、全国の病医院2万件を顧客に持ち、大手と競合せずに健闘していますよ。 >
当社も中堅・中小企業の後継者問題というニッチ分野に絞っています。東証1部上場企業で同じ事業をやっているところはありません。独自性がないと、この先難しいでしょうね。
- ほかにはどのようなことを視野に入れるといいのでしょう?
中小企業でも海外のマーケットに目を向けることです。高齢化社会の進行で、15歳から64歳までの生産年齢人口は今後40年で3割以上減少します。生産年齢人口は消費の中心にあたります。なので、消費財の売上を今後2倍に上げるなんていう話はなかなか現実的ではありません。
そこで、アジアなどの海外をマーケットにとらえることが不可欠になります。そう考えれば商圏がものすごく広がり、大きなビジネスチャンスが到来すると思いますね。
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プロフィール
株式会社日本M&Aセンター代表取締役社長
分林保弘(わけばやし やすひろ)氏
1943年京都府生まれ。立命館大学経営学部卒業。66年日本オリベッティ(株)に入社。同社会計事務所担当マネージャーを経て、91年㈱日本M&Aセンターを設立し、全国226拠点を組織(2008年3月時点)。92年同社代表取締役社長就任。06年マザーズ上場。07年東京証券取引所第一部に上場。全国の公認会計士・税理士と地域金融機関とのネットワークを基盤に、中堅・中小企業のM&Aの第一人者として活躍。
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