本誌(経営情報マガジン『社長25h』)を会計事務所から届けられて読んでいる社長は多いだろう。本誌をお客様に配っているような会計事務所は、税務申告以外にもいろいろな面で経営を支援していると思われる。皆さんは会計事務所をどのようなポジションとしてとらえているか?実は、利益を創出するには、会計事務所を活用することが不可欠。今回は会計事務所との付き合い方についてお話ししたい。。(この記事は、「25時間戦う!!社長の"黒字経営"マガジン『社長25h』2008年12月号に掲載された記事の一部をBSL会員向けに再掲載したものです。)
皆さんは顧問税理士とどのように付き合っているか? あるいは、会計事務所をどのようなポジションとしてとらえているか? 一般的には税務申告を第一に考え、節税対策を相談したり、経理上でわからないことがあったら指導してもらったりという位置づけだろう。これから先、中小企業経営者が税理士にお願いすることは「事業承継」「利益創出のための対策」、この2つであると私は考える。
経営の延長線上に会計事務所を位置づけよう
皆さんは会計事務所に顧問料を月にどれくらい払っているだろうか? 月に3万円、5万円、10万円など、会社によって千差万別だろう。3万円ならば税務申告と決算業務が中心で、10万円ならば経営に対するいろいろなアドバイスを受けていると思われる。
3万円の顧問料を高いと思うか、安いと思うかというのは問題ではない。会計事務所を単なる「税務申告の代理人」ととらえている経営者は、顧問料が安ければ安いほどいいと思っている。しかし、顧問報酬の安さで会計事務所を選ぶ時代は、もう終わったと私は考えている。
これからの中小企業には、会計を通じた経営指導が不可欠。会計事務所に対する報酬は、しっかりとした金額を支払い、それに見合うだけのサポートを要求したほうがよい。これは私の持論である。
税理士は国家資格者で、しっかりと事務所を構えている。会社に来てもらって「ああでもない、こうでもない」と相談していながら、月3万円の顧問料はありえないのでは。もちろん、経理のパートタイマーを採用すると考えたら、月に1回来て3万円払うのは高いと思うかもしれない。しかし、会計事務所を経理の延長線上に置くのではなく、経営の延長線上に位置づければ、月3万円の顧問料なんて考えられないと思う。例えば、顧問料として月に5万円を払うことに難色を示すようなら、決算内容の診断、経営計画の立案、資金繰り指導など、付加価値の高いコンサルティングを受けることは難しいだろう。
事業承継で頼りになるのは税理士しかいない
中小企業経営者が税理士にお願いすることは「事業承継」「利益創出のための対策」の2つ。まず「事業承継」について話してみたい。
事業承継ですべきことは「銭勘定」と「心の勘定」。そして、2代目や3代目は技術を伝授できても、経営を伝授することはなかなかできないものだ。
ある知り合いの例を挙げる。父がやってきたビジネスは泣かず飛ばず状態。息子は一流大学を出て一流のシンクタンクに就職した。そこで習得した自分なりのアイデア、ノウハウを持って帰り、父の会社に入った。するとたちまち儲かり、利益がどんどん出たという。父親は「よかった、よかった」と手放しで喜んでいたが、私は「そうじゃない」と諭した。
それはなぜか。利益がどんどん出ると株価が上昇し、当然資産が増える。すると、一度に払えないほどの莫大な相続税がかかってしまうのだ。こうなると、息子がアイデアを出した事業を分社化するなどの会社分割や、事業承継対策をしなければならない。
こうしたことを相談したり、サポートしてもらうのは税理士しかいない。会社をいかにして承継し、存続させるか。そうした観点で税理士を活用しなければならない時代に突入したといえるだろう。
もうひとつの「利益創出のための対策」について話してみよう。アメリカでは「利益をメジャーで測れ」とよく言われる。これはどういうことか。
「常にどれだけの利益を出したのか、どういう目標を持ったのかを測らなければならない」という意味である。こうした目標は、会計事務所と一緒につくるのが一番。決算書を読みこなし、そこに並んでいるさまざまな数字を目標に落とし込むのは、会計の知識に疎い中小企業の社長では難しいからだ。
利益を創出したいなら社員と共通言語を持とう
もし、利益を創出したいと思うのなら、まず社員と共通の言語を持とう。「一人あたりの限界利益」「一人あたりの売上高」など、社員が共感できる定量的な目標を掲げよう。そして、会計事務所と一緒に経営計画をつくればいい。
その際に3万円、5万円といった顧問料の範囲で経営計画をお願いしようと考えてはいけない。ちゃんとした経営のサポーターとして、しっかりとした報酬を支払う決断をしよう。それが、会社が成長するひとつの条件でもある。
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プロフィール
㈱アックスコンサルティング 代表取締役
広瀬 元義
"黒字経営を実現する会計事務所の会"FANアライアンスを主宰。また、中小企業や会計事務所の経営コンサルティング、Webコンサルティング、出版事業等を手掛けている。著書は2007年年間総合19位(「日経ビジネス」調べ)の『イン・ザ・ブラック』(あさ出版)をはじめ、多数執筆。
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